-「コーチングを学んでやれそうな気がしたのに、なんだかうまくいかない」
-「スクールでたくさん練習したのに、いざやってみると全然出来ない」
-「なんでうまくいかないのか、それもよくわからない…」
こんなお悩み、ありませんか?
実は、コーチングがうまくいかない理由は「これ」とひとつに断定できるものではなく、様々な要因が絡み合っていることが殆どです。ゆえに、「なぜうまくいかないのか?」自体を整理できず、対応策も立てられない、ということが起こりがちです。
そのため、この記事では、コーチングがうまくいかない要因を3つに分けて解説します。そして、それぞれの問題ごとに具体的な対応策をお伝えします。
つまり、「コーチングがうまくいかない」と悩んでいる方は、この記事を読むと、うまくいかない要因を解明し、取るべきアクションを明らかにすることができます。
ぜひ最後までお読みください!
著者:藤田琴子
CTI認定CPCC® | 臨床心理士 | NLPマスタープラクティショナー
オンラインコーチング実績約900件、オンラインカウンセリング実績約1,400件
本ブログは、コーチングを学んだけど実践ゼロの初心者コーチに向けて、3ヶ月後には、自信を持ってコーチと名乗れるよう、取るべき行動をステップバイステップでお伝えしています。
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なぜコーチングがうまくいかないのか?3つの要因と対策を徹底解説
コーチングがうまくいかない理由を色々と検索してみると、
– 信頼関係がない
– クライアントのモチベーションがない
– 目標達成の意欲がない
– コーチが誘導している
など、様々なことが挙げられています。
しかし、コーチングがうまくいかない要因はひとつに特定するのが難しく、様々な要因が絡み合っていることが殆どです。そして、そこを整理することなく対策を取ろうとしても、問題解決につながりません。
そのため、ここではまず、要因を3つに整理します。
①コーチ側の要因
②クライアント側の要因
③コーチとクライアントの関係性
1つ目は、コーチのスキル不足や自信のなさなど、コーチの側に問題がある場合です。
2つ目は、本人にやる気やモチベーションがないなど、クライアント側に要因がある場合です。
そして3つ目は、コーチとクライアント、どちらか一方に責任があるわけではなく、2人の関係性そのものに要因がある場合です。
このように、コーチングがうまくいかない要因は大きく3つに分けられます。そこで、それぞれの要因において、主な課題を3つずつ見ていきましょう。
コーチ、クライアント、関係性の3つの要因ごとの理由
コーチ、クライアント、両者の関係性という要因から挙げられる課題は様々です。ここでは、それぞれに対して、主な課題を3つずつ挙げることにします。
コーチ側の要因
1. スキルが不足している
まず、コーチングがうまくいかないコーチ側の第一の要因として挙げられるのは、コーチングに必要なスキルが十分でないことです。
コーチングのスキルは、実践により高められます。また、「知る」と「できる」には差があり、コーチングを学んで理解したからといって、すぐにそれを実践の場で活用できる訳でもありません。
そのため、特にコーチングを学んだばかりの初心者の場合、コーチのスキル不足によりコーチングがうまくいかない、ということが起こります。
因みに、コーチングスクールや流派により、コーチングに必要なスキルの定義は異なります。そのため、このブログでは、コーチングに必要な基礎スキルとして「傾聴」「承認」「質問」、応用スキルとして「フィードバック」「リクエスト」「メタ認知」の計6つを定義しています。
2. コーチの姿勢に問題がある
2つ目は、コーチとしての姿勢や在り方に問題がある場合です。
コーチングの前提は、「クライアントが答えを持っている」「クライアントには力がある」です。そのため、コーチは、アドバイスをしたり、問題解決をする存在ではなく、クライアントが自分の内側から答えを見つけ、可能性を広げ、目標を達成するためのサポートを提供します。
しかし、コーチがクライアントの力を信じきれずにいると、「コーチはクライアントを助ける」という前提になり、コーチが問題を解決しようと頑張ってしまいます。そうなると、クライアントの主体性や創造性が発揮されることはなく、エンパワメントとは逆の方向にコーチングが進んでしまいます。
3. 自信がない
コーチングがうまくいかない場合のコーチ側の3つ目の要因は、コーチに自信がないことです。自分のことを信じられないと、クライアントに積極的・主体的に関われず、しっかりとした信頼関係を築くことが難しくなります。
また、コーチの自信のなさは、コーチングでの関わりにも影響するため、クライアントは「コーチングに価値がある/意味がある」と感じにくくなります。そして、クライアントがコーチのスキルや姿勢に疑問を抱き始めると、率直なコミュニケーションが難しくなり、コーチングが進まなくなります。
クライアント側の要因
1. やる気やモチベーションがない
次に、クライアント側の要因として第一に挙げられるのは、モチベーションややる気のなさです。特に、本人の意思でコーチングで受けているのではなく、「上司に言われたから」「会社で勧められたから」など、人から言われたから受けている場合は、コーチングに対してのモチベーションを保つのが、より難しくなるかもしれません。
また、コーチングを継続していて、効果や成長が感じられない時にモチベーションが下がるのは、ある意味、自然なことです。そして、仕事のストレスや家庭の問題、健康上の問題など外部要因により、クライアントがコーチングに集中するのが難しくなることもあるでしょう。
2. コーチングに対して誤った前提を持っている
クライアントがコーチングに対して、過度な期待を抱いていたり、間違った前提を持っていて、それがコーチングが進まない原因となることがあります。例えば、「コーチングでは、コーチが問題に対して答えをくれる」「相談に対して、アドバイスをもらえる」などです。
そして、「コーチングでは、クライアントがコーチングのプロセスに主体的に関わり、行動していくことで変化が起こる」という認識がなく、「コーチがやってくれる」という「お客様気分」でいると、コーチングはうまくいきません。
3. メンタルヘルスに問題がある
時には、クライアントがメンタルヘルスの問題を抱えており、コーチングを受けること自体が適切でない場合があります。気持ちがマイナスになりがちで、エネルギーがない場合、コーチングでの会話自体も過去やネガティブなことに向がちです。
そして、コーチングでは「行動すること」が非常に重要ですが、そのような状態では、コーチングで決めたことを行動に移していくことは難しいでしょう。
このように、クライアントがメンタルヘルスの問題を抱えていて、行動するエネルギーがない場合、コーチングはうまくいかなくなります。
コーチとクライアントの関係性
1. 信頼関係を築けていない
コーチングがうまくいっていない時、コーチ側、クライアント側、どちらか一方に問題があるわけでなく、関係性自体に問題があることがあります。そして、その場合、一番に挙げられるのは、「信頼関係」が築けていないことです。
コーチとクライアントの信頼関係は、コーチングの土台です。信頼関係がないと、クライアントは思ったことを自由に話せず、自分自身と深く向き合うことはできません。コーチングでのコミュニケーションは表面的になり、そんな「浅い」会話からは、変化や成長は生まれず、コーチングのプロセスが行き詰まってしまいます。
2. パワーバランスに問題がある
コーチとクライアントの間に、上下関係があったり、複数の関係があると、コーチとクライアントとしての関係を築きにくくなり、それによりコーチングがうまくいかなくなることがあります。
特に、知り合いにコーチングを実施する場合、既にある関係とは別に、改めてコーチとクライアントとしての関係を結ぶ必要があります。ただ、これまでの関係性を引きずってしまい、新たな関係が築けないと、コーチングを進めていくことは難しくなります。
3. 相性が悪い
そして、最後の要因としては「相性が悪い」です。コーチとクライアントといえども、やはり人と人との付き合いなため、どうしても「相性」はあります。どちらが悪いわけでもないものの、相性や性格が合わず、それがブロックとなり、相互理解や関係性を築くことが難しい、ということはありえます。
コーチングをうまくいかせるための具体策
それでは、コーチングをうまくいかせるための具体的な対応策を見ていきましょう。
コーチ側の要因への対策
1. スキルをつける
コーチングスキルをつけるためにできることは、練習と実践です。練習の仕方も工夫することで、着実なスキルアップが望めます。
例えば、コーチ仲間と練習する時、「今日はこのスキルを練習する」と宣言します。練習中は、そのスキルがどれぐらいできていたかチェックしてもらい、そのスキルに特化したフィードバックをもらうと、スキルアップに繋げやすいでしょう。
また、コーチ仲間に「難しいクライアント」を演じてもらい、コーチングの難易度を上げることで、筋力をつける方法もあります。特にコーチングスキルで最も重要な「傾聴力」は、「攻撃的なクライアント」「口数が非常に少ないクライアント」「ネガティブなことばかり話すクライアント」などを演じてもらい、対応力をつけるのが効果的です。
そして、自分自身がコーチングを受け、プロコーチのスキルを実体験することも、スキルアップに効果があります。特に「質問」のスキルは、プロコーチがどのタイミングで、どんな質問をするか、そしてどんな効果があるかを経験すると、自分のコーチングに活かしやすくなります。
2. 前提を変える
コーチの姿勢や在り方に問題がある場合、前提を変える必要があります。コーチが問題を解決しようと頑張るのではなく、「クライアントが答えを持っている」「クライアントには、必要なリソースや力が携わっている」という前提に立ちます。
とはいえ、「新しい前提に立ち、それを体現した関わりをする」というのは、簡単ではありません。そのため、まずは前提を書き換えるために、
– 「毎朝、前提を唱える」
– 「鏡にメモを貼っておく」
– 「デスクトップの壁紙にする」
など、前提に日常的に触れる仕組みを作りましょう。
3. 自己効力感を高める
「コーチは自信を持つことが必要」と理解できても、コーチングを学んだばかりの段階で、「コーチとしての自信を持つ」ことは難しいかもしれません。ただ、コーチが自分を信じることができていないと、やはりそれはクライアントとの関係に確実に影響します。
そのため、小さな目標を立て、それを達成することを繰り返すことで、一歩一歩自己効力感を高めていきましょう。
自己効力感を高める6つの方法については、こちらで紹介しています。ぜひ、ご自分に合った方法を見つけて、実践してくださいね!
クライアント側の要因への対策
1. 価値観を深ぼり、モチベーションの源泉を探る
クライアントに、コーチングを受けるモチベーションがない時、そこに火をつけ、主体的に関わってもらうのは、容易ではありません。
ただ、不可能ではないので、まずはクライアントが大事にしている価値観や思いをじっくりと聴いてみましょう。「これまでで一番達成感を感じたこと」「充実していた時」など、ピークの体験を聴くことで、モチベーションの源泉を探ります。そして、クライアントへの理解を深め、関係性を強化することで、クライアントのコーチングへの主体的な関わりを引き出します。
2. コーチングに対しての認識を合わせる
クライアントがコーチングに対して過度な期待を持っている場合は、期待値を調整し、コーチングに対しての認識を合わせる必要があります。まずは
– 「コーチングは、どのようなものだと思っていますか?」
– 「コーチは何をすると思いますか?」
など、率直にたずねます。
そして、「コーチングでは、答えやアドバイスをもらえる」と捉えているクライアントに対しては、明確に「コーチはアドバイスや答えを与える存在ではない」ことを伝え、効果的なコーチングには、クライアントの主体性と積極的な関わりが不可欠であることを伝える必要があります。
3. カウンセリングや医療にリファーする
コーチングでは、行動目標を決め、それを実行することで変化が起きます。そのため、行動するエネルギーがない場合にコーチングを受けると、「行動目標を立てる」▶︎「決めたことができない」ことになり、それが重なるとかえって自己効力感が下がってしまいます。
そのため、行動するだけのエネルギーがない場合は、カウンセリングの方が適切なため、カウンセリングにリファーしましょう。また、「食べられない」「眠れない」と食事や睡眠にまで支障が出ている場合は、医療機関の受診が奨励されます。
コーチとクライアントの関係性への対策
1. 信頼関係を築き直す
コーチとクライアントが信頼関係を築くことができておらず、コーチングのプロセスが進まない場合、信頼関係を築き直す必要があります。関係性を築き直すステップは4つです。
①「コーチングにおいては、コーチとクライアントの信頼関係が肝」になること、「関係性は、お互いが創っていくもの」を伝える
②「私たちの信頼関係がまだ十分でないと感じている」ことを伝える
③相手がこの関係をどのように感じているか、率直に聴く
④「コーチにどのように関わって欲しいか?」要望をたずねる
このように、関係性を築き直すには、率直なコミュニケーションが必要です。非常に勇気がいるし、関係性がうまくいっていない相手に意見を聞くのは、怖さを感じるかもしれません。ただ、このような真摯で誠実なコーチの姿勢が、関係性を変える突破口となることは少なくありません。勇気を出して、一歩、踏み出してみましょう!
2. コーチとクライアントとしての関係を築く
コーチングを始めるまでに、他の関係があった場合は、コーチとクライアントの関係を築き直す必要があります。特に、友人にコーチングをする時には、「いつものおしゃべり」にならないための工夫が必要です。
友達へのコーチングで意識すべき重要ポイント3つについては、下記の記事を参照ください。
3. 他のコーチを紹介する
ここまで3つの要因ごとに、複数の課題を挙げてきました。しかし、それでもコーチングがうまくいかない、ということはあります。特に、互いにベストを尽くしたものの、どうしても性格が合わない、相性が良くない、ということはあり得るでしょう。
そのような場合は、クライアントがコーチング自体から離れてしまうことを避けるためにも、他のコーチを紹介します。コミュニケーションのスタイルや価値観などから、何人か知り合いのコーチを紹介します。クライアントに「見捨てられた」という印象を与えないためにも、他のコーチを紹介する意図を伝え、誠実に対応します。
よりよいコーチングのためにコーチができること
この記事では、コーチングがうまくいかない要因として、コーチ側、クライアント側、そして関係そのものに要因がある場合と、3つのパターンに分けて解説しました。そして、課題ごとに、私のこれまでの経験も踏まえ、具体的な対応策をお伝えしました。
コーチングを学んだばかりの頃は、うまくいかないことばかりだと思いますし、経験を重ねても、うまくいかないことは多々あります。
そのため、この記事が、コーチングがうまくいくきっかけとなり、クライアントによりよいコーチングを提供するためのヒントとなれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
いや〜深いねえ。もう1項目毎に講座開けるぐらい色々詰まってるね❣️其れぞの項目をこんな事だよって具体的なエピソードが語れるぐらいエキスパートになりたいなって読みながら思いました。シェアありがとう
ぺこさん、ありがとう!いやー、色々整理していたら、想定以上のボリュームになってしまったのです… でも、これで結構要因もすっきり整理できたので、ここから色々と活用してもらえたら嬉しいです!