コントロールを手放す | 流れに身を任せるという選択
「コントロールを手放す」「流れに任せる」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
もしかすると、どこか受け身で、自分の意思を手放してしまうような印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
そして、計画通りに進めようとするほど力が入り、思い通りにしようとするほど苦しくなったけど、思い切って手放した瞬間、思いがけずに物事が動き出した。
そんな経験をしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、「サレンダー(委ねる/手放す)」というテーマを通して、「コントロールを手放す」とはどういうことか、そして「流れに任せる」と「流れに従う」の違いについての気づきをまとめました。
- この記事は、2025年10月7日(火)配信のメルマガ、”Life is Magical”の第22号をブログ掲載用に編集したものです。
- “Life is Magical”は、コーチングや心理学的視点から、より充実した人生を送るためのヒントをお届けするメールマガジンです。日本語と英語で不定期に配信をしています。ご登録はこちらから。
著者:藤田琴子
ICF認定PCC | CTI認定CPCC® | 臨床心理士 | NLPマスタープラクティショナー
コーチとしての想いについては、こちらから
コーチング無料オリエンテーションのお申し込みは、こちらから
🌱 「サレンダー・エクスペリメント」──流れに身を任せるという選択
この「サレンダー」という概念については、以前にも
「頑張らないと何も起こらない」思い込みを手放す|委ねるという選択
というテーマで書いたことがあります。そして2025年9月末には、リーダーシッププログラムの仲間と、マイケル・A・シンガー著『サレンダー』について語り合うBook Callを実施、改めてこのテーマについて考える機会がありました。
この本は、著者が30年以上にわたり「人生に起こる出来事をコントロールせず、すべてを受け入れる」という“人生の実験 (Surrender Experiment)”を実践した記録です。瞑想とヨガに没頭し「内なる静けさ」を求めていた著者は、思いがけない出来事や誘いが次々と舞い込む中で、一切の価値判断を手放し、「NO」を言わずにすべてを受け入れていくことを選びます。
その結果、彼は大規模な瞑想センターを築き、全米規模のソフトウェア企業のCEOとなり、ビジネス的に大成功しました。一方で、完全なる濡れ衣を着せられ、FBIの捜査を受けるなど、波乱に満ちた人生を歩みます。それでも彼は、「自分を明け渡し、人生の流れに身を任せる」ことを選び続けます。
🌱 「流れに任せる」と「流れに従う」は、どう違う?
リーダーシップ仲間とのBook Callは、こんな問いから始まりました。どちらも一見すると「受け身」で「自分で選択することをやめている」ように捉えられがちですが、一体何が違うのか?と。
色々出てきた意見の一つは、“Intention (意図)”。ただ何となく流されるのではなく、「あえて任せる」という選択を、自らの意思でしているかどうかです。つまり、「自分で舵を取ることは手放すけれど、手放すことを自分の意志で選んでいる」部分に違いがありそうでした。そのため、表面的には「従っている」ように見えても、内側には明確な選択と決意がある。それは、”流される” とはまったく別の在り方です。
もうひとつは、“Awareness (気づき)”です。ただ任せるのではなく、「今、自分の内側で何が起きているか」に気づきながら委ねているかどうかです。流れに身を委ねつつも、その瞬間に起きている感情、反応、抵抗を見つめる視点を持ちながら、「今、私は委ねている」と意識的であることが大切だと思いました。
この「意図」と「気づき」があると、「流れに任せる」はただの受け身でも諦めでもなく、「自ら選び、信じて委ねる」という能動的なあり方だと感じました。
🌱 コントロールを「手放す」ことへの恐れ
私たちは日常の中で、「良い / 悪い」「好き / 嫌い」といった判断を、無意識のうちに何度も繰り返しています。しかし著者は、そうした判断の多くは、実はエゴや恐れに基づいていると語ります。
だからこそ彼は、それらの価値判断をすべて手放し、「人生はコントロールするものではなく、委ねるもの」と捉えました。そして、「人生が自分に何を差し出してくるのか」を信じ、完全に身を任せる──つまりサレンダーを選ぶことで、「内なる平和」を求め続けたのです。
とはいえ、この「サレンダー」の実践は、決して簡単ではないと感じました。この本を読みながら、「怖さ」を感じましたし、自分の力ではどうにもならない状況に身を任せ、その結果に対する判断すらも手放すなんて、「そんなこと、本当にできるの?」「そもそも、それを私は望んでいるの?」そんな思いが何度も浮かびました。
でも一方で、「流れに身を任せると、人生は自然に花開いていく」という世界観や、流れに乗るしなやかさ、想像を超えた人生の展開などに、どこか惹かれている自分がいます。
そのため、まずは、今この瞬間に起きている出来事に対して、「これは良い」「これは嫌だ」と反射的に決めつけず、まずは自分の反応に気づくことから始めることにしました。そして、それを「ただ起きていること」として、受け止めてみる、と。
そんな意識でいると、ふっと波に乗れたような、テトリスがピタッとハマるような感覚がある日もあるし、逆に、明らかに「流れに抵抗している」と感じる日もあります。まだまだコントロールを手放して「サレンダー」は難しいですが、流れを意識しながら、日々過ごしていこうと思います。
💡 今週の問い
- あなたが「こうあるべき」と判断してしまいがちなことは、なんですか?
- その出来事を、判断なしに受け止め、受け入れることができたら、どんな新しい視点が得られそうですか?
